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ネットショップ開業マニュアル完全版
目次
はじめに
これまでいろいろなネットショップの開店開業をお手伝いしてきました。本格的に始める人も、小さくスタートする人も、開業までにはいくつもの手順があります。その手順を当社の経験、お客様からの質問をベースに完全解説します。
企画をする(コンセプトを決める)
どうゆう事ですか?
企画をするとは、当社で必ず行う工程で、一般的にはコンセプトを決めるとか、コンセプトメイクなどと言うと思います。
この企画をする、コンセプトを決める事は、すべてのビジネスに必須項目。ネットショップを開店する前にも、必ず行う必要があります。
具体的には?
当社で企画をするとは、「誰に」 「どの商品を」「どのようにして」販売するのかを決めること。
最低限この3つを明確にし、コンセプトを決めることで、宣伝・販促も明確になります。
また当社が考える「最重要」事項は、「誰に売るのかという「ターゲット設定」。
最近はペルソナともいいますね。
もっと具体的に教えてほしいです!
では1つ質問を出しますね。
竹刀を売るなら、誰に売りますか?
- 野球部に竹刀 → 竹刀ではバットの代わりにならないので売れない
- 茶道部に竹刀 → 竹刀でお茶はたてられないので売れない
- 剣道部に竹刀 → 練習や試合で使うし、竹刀はよく割れるので、剣道部には売れる
誰に売るのかが明確になると、次に思いつくのは
剣道部がある小中高大、地域の道場に宣伝すれば、売れるんじゃないかなー、チラシを配ってみようかー。
このようにターゲットが決まれば、売るものが決まり、売り方も、売る場所も明確になります。
このように考えることが企画をする、コンセプトを決める事になります。
ショップ名を決める
ショップ名は会社名がいいんですか?ショップ名を別に考えた方がいいですか?
企画、コンセプトが決まれば、次はショップ名。ターゲットが興味を示すショップ名にしたいものです。
会社名でターゲットが商品を連想出来るのであれば会社名でもいいと思いますが、そうでない場合はショップ名を新しく考えた方がいいでしょう。(屋号:★★★ショップ/運営元:株式会社♦♦♦♦♦ という関係になります。)
ショップ名が決まると、ネットショップのアドレス(https://★★★.com)も決めやすい。
コンセプトが決まり、ショップ名が決まり、アドレスが決まるという流れが見えてくると思います。
開業する際にかかる費用
資金の目安は? どんな費用が発生するのか?
開業する際にかかる費用を整理しました。
ネットショップ | ネットショップ制作、保守管理費など |
システム利用料 | ショッピングカートの利用料、販売手数料など |
商品仕入れ費、製造費 | 商品の仕入れや製造、商品を保管する倉庫等の費用もかかる場合も |
機材(パソコン、プリンター、電話、FAX、カメラ、インターネット環境など) | ネットショップをするなら最低限必要 |
梱包資材 | 段ボール、化粧箱、テープ、緩衝材など
段ボールに印刷する場合は、版代もかかる、印刷費もかかる |
販促費 | 商品と一緒に入れる同梱物
たとえば、挨拶状、返品交換用紙、商品紹介、生産者紹介、店長紹介、レシピ、使い方、関連商品のチラシ、商品カタログなどがある |
こちらは運用費用です。開業し、売上を継続的に上げるためには必要な資金になるはず。
運賃 | 送料、代引き手数料 |
カート機能利用料 | システム利用費、売上手数料 |
ネットショップ保守 | 保守費用 |
ネットショップ運用 | 運用代行費 |
各種決済機能 | クレジットカード決済手数料、コンビニ支払い手数料など |
広告費 | ネット広告費、DM、折込チラシ |
店方法を決める
ネットショップにはいろんなサービスがありますが、どれがいいのかわかりません?
ネットショップの出店方法には大きく分けて、「モール型」と「独自ショップ」の2つに分けられます。最近、いろんなサービスがあり、有名どころを整理しました。
- 【モール型】楽天、amaozn、Yahoo!ショッピング
- 【独自ショップ】ECCUBE
- 【独自ショップASP型】カラーミーショップ、MAKEショップ
- 【独自ショップカート型】BASE、STORES
モール型と独自ショップのメリット、デメリットを教えてください。
モール型 | 自社ショップ型 | |
カート | 楽天
Yahoo!ショッピング Amazonなど |
カラーミー
MakeShop EC-CUBEなど |
メリット | 買いたい人が集まっている
ポイントが利用できる 決済管理がかんたん モールのブランド力 モールのイベントを活用し販促できる |
顧客情報が収集できる
独自の販促活動ができる デザインの自由度が高い |
デメリット | 販売手数料がかかる
店舗間の価格競争が激しい 方針・契約に従う必要がある 個人情報を活用できない 独自の販促活動ができない |
独自ショップの存在が認知されにくい
一定レベルの技術や知識が必要 セキュリティのリスクがある 自社でイベントを開催し販促する必要がある |
相談者を決める
ネットショップ、誰に相談する?
大きく分けて3つのタイプに分かれると思います(私の考えですが)。
- ネットショップの制作だけならデザイン会社、ホームページ制作会社でOK
- ネットショップの開業であれば、デザイン会社、ホームページ制作会社よりも、開業の実務経験がある制作会社
- ネットショップで売上を上げたいのであれば、マーケティングが得意な会社、ネット広告が得意な制作会社
ネットショップ開業までには、お金の流れ、配送の流れ、梱包、アフターフォローなど多くの業務があります。サイトを作って終わりではないので、状況にあった業者を選びましょう。
特定商取引法をきめる
特商法は、ネット販売をする上で必須。同業者のネットショップを参考に考えておきましょう。
販売者に関する情報
事業者名
責任者名(法人は代表者名、個人事業主は個人名)
所在地
連絡先(電話番号、メールアドレス)
販売に関する情報
申し込み有効期限
商品などの販売価格
送料などの商品代金以外の付帯費用
代金の支払時期
代金の支払方法
商品等の引き渡し時期
返品の可否と条件
特定商取引法表示の返品特約について
返品特約を知らない方がとても多いのですが、食品の通販サイトで下記のような文章を見たことはありませんか?
「お客様都合による返品はできません」
これが返品特約です。
ネットショップは法律でも返品をしなければならないのですが、返品特約の記載があれば返品特約が優先されます。
返品特約の2つの注意
①モールではモール独自の返品特約がある場合も。
②この特約はある意味最強ですが、不当な返品特約はNGです。消費者契約法により無効されます。
ネットショップの場合は、返品特約を表示することは必須ですが、申込みの操作をする画面(最終申込み画面)にも分かりやすく表示することとされています。
運送会社を決める
運送会社の申し込み
ショッピングカートや制作会社を決めているお客様は多いのですが、運送会社を忘れている方がとても多いと感じます。ネットショップには配送会社は必須。ネットショップ制作と同じくらい運送会社との契約は重要です。
運送会社にお申し込みをする際に、年間の発送予測(何件くらい発送するのか)を聞かれる場合があるので、考えておくとよいでしょう。この発送件数により、運賃を下げてくれるケースも。
代金引換を利用する場合の注意点
代金引換を利用するには、運送会社との契約と通帳の登録などの手続きが必要になるので、1か月くらい余裕をもって運送会社に申し込みをしましょう。
クール便(冷蔵、冷凍)の確認は忘れずに!
運送会社によってはクール便(冷蔵、冷凍)を利用できないこともあります。沖縄、北海道、離島にクール便(冷蔵、冷凍)の対応があるのか、この点は念入りに確認してください。
中継料も確認しましょう
中継料とは沖縄、北海道、離島に行くときにかかる「フェリー代金」と思ってください。場所によっては、すごく高い中継料がかかる場合もあります。
配達時間指定ができない地域もあります
田舎になるほど時間指定ができないケースがあるようです。運送会社はこのエリアを把握しているので、しっかり確認して、ネットショップに記載するとよいと思います。
商品を決める
ネットショップは、「単品通販」と「総合通販」にわけられ、取り扱う商品数により分類されています。
「総合通販」とは、複数の商品を扱うサービスで、アマゾンや楽天が有名。
大きい企業が行ている印象が強く、資金力がものいいます。
単品通販は、中小企業、個人事業主などが多く、「1つの商品」か、「少数の商品」を販売する方法です。
単品通販では、リピートする商品を仕入れる必要があります。
そして、繰り返し購入してもらう運営が重要になります。
ネットショップを開業した当初は、まず「1つの商品」を人気商品に育てるべきだと思っています。
その商品が育ったら、2つめの商品を育てるといいでしょう。
SEOを意識するのであれば、関連商品を増やしていき、専門店を目指すべきです。
商品の値段を決める
価格設定は非常に重要になります。
これはどのような立ち位置でネットショップを運営するのかにもよります。
リアルな店舗があり、売上のプラスアルファでネットショップを始める場合
1人スタッフさんを雇用することを想定し、「利益が出る価格設定」をすべきです。
片手間でネットショップを初めても売上は上がりませんし、伸びません。
ネットの世界には同じようなお店が数百、数千とあるからです。
スタッフさんを入れて、計画的に運営しないと、売上が伸びない!
そして、モチベーションが下がり、ネットショップ放置という状態に陥ってしまいます。
ネットショップ1本で生計をたてるお店の場合
この場合は利益率が非常に、非常に、非常に重要になります。
薄利多売を考えているのであれば、ネットショップの開業は考え直した方がいいと思います。
薄利多売は、総合通販ができる資金力、商品力、経営資源が絶対的に重要です。
私の経験では利益率80%はほしい。
200円で仕入れて、1000で売る このくらいじゃないとネットショップ1本で生計をたてることは難しいです。
商品写真を撮る
商品の魅力を伝えるために、商品写真はとても重要です。商品写真の良し悪しで売れ行きが大きく変わるのがネットショップです。商品画像で商品の魅力や特徴・色味などを伝えないと、販売までつながりません。
商品写真は1枚ではなく、契約できるだけ、出来るだけたくさん掲載すべきです。
もし商品写真の枚数で悩まれているなら、ライバル店を見て、何枚写真を掲載しているのかを確認してみるといいでしょう。そうすると枚数の基準がわかると思います。
商品説明文を作る
お客様に商品を買ってもらうためには、「魅力的な商品画像」のほかに「る商品説明文」も重要です。写真では伝わらない、言葉でなくては伝わらない「商品情報」を正確に伝えるためには商品説明文は大切になります。
また、商品説明文をしっかり記載することで、検索にヒットしやすくなりますので、できるだけたくさんの情報を掲載しましょう。
梱包資材を決める
商品が決まれば、どのように発送をするのか決めましょう。
段ボールなのか、化粧箱なのか、厚手の紙袋で送るのか、
プチプチに梱包するのか、緩衝材は入れるのか、
実際に梱包をしてください。
ここで大切なことは サイズ。
運賃は サイズで決まります(重さの場合もある) 。
よくある失敗パターンでは、既存の段ボールを使うケース。
既存の段ボールのサイズが65cmであれば、送料は80サイズになってしまいます。
もし商品が小さいモノであれば、新しく段ボールを作った方がコスト面で大変有利になります。
この点を忘れて、送料が高くなるケースを何度も見てきました。
必ず先に 箱のサイズを決めましょう。
箱を小さくした方が利益が残る
当社の送料は
60サイズ 九州県内 約400円
80サイズ 九州県内 約600円
差額 200円です。
60サイズの段ボール(無地タイプ)であれば、
当社であれば、約20,000円(400枚)で製造できます。
100件の注文がくれば、
送料の差額で
段ボール料金は取り返しますし、
長く運営をするのであれば、
この差額の200円が非常に重要になります。
梱包方法を決める
梱包方法も大変重要です。
梱包する方法(ルールブック)を決めておかないと、担当スタッフの判断になり、60サイズで送れるものが、80サイズになったりして、送料を損してしまいがちです。
商品別に、箱で送るのか、袋で送るのか、
複数の注文が来たときは、どう送るのか、
また緩衝材は何を使うのか、
細かいルール作りが必要です。
梱包にルールがないと
梱包にルールがないと、スタッフさんたちは楽な梱包方法に走ってしいます。
スタッフさんたちは梱包をしてくれますが、送料まで考えている意識の高いスタッフさんはどのくらいいるでしょうか?
段ボールのサイズが60サイズから80サイズになるだけで、数百円送料で利益を削られてしまう事までは考えていません。ですので、梱包方法のルールは決めておきましょう。
決済方法を決める
ネットショップの決済方法は重要です。
購入画面まで来たけど、使いたい決済手段がない場合、約7割のユーザーが「買わない」という判断をすうそうです。
では、実際によく利用される決済手段は何でしょうか。私が授業で教えているこの教科書ではこのような数値を確認することができます。
(引用:総務省 平成27年通信利用動向調査)
グラフを見ると、最低でも、クレジットカード決済、コンビニ決済、代金引換の3つには対応可能にしておくべきことが分かります。
配送方法と送料を決める
運送会社は日本郵政、佐川急便、ヤマト運輸の3社から選ぶことがほとんどです。重要なので繰り返しますが、クール便(冷蔵・冷凍)に対応できないこともあるので、しっかり確認して契約します。
配送方法は、店舗側とお客様の双方にとってベストな配送方法を複数用意して、できる限りお客様の要望に答えられるようにしておくことが重要です。
どれくらいの配送方法を用意するか
どの配送方法をメインで使用するか
などしっかり検討しておきましょう。
送料の決め方を確認しよう
商品をお客様の元に届けるには必ず「送料」の問題が付いてまわります。
通販をすると、売上の8~9割が関東地方になることがほとんどですので、一定の基準して考えてもいいと思います。
送料を安く設定してしまうと、
送料が運営を苦しめる原因になりますし、
送料を高く設定してしまうと、
お客様の「買わない理由」になることも。
最近では送料無料にしている店舗が多いように思います。また一定額以上の購入で送料を無料にする設定はほとんどの店舗で行っていると思います。以下に送料設定パターンをまとめました。
送料設定パターン
全国一律の送料を設定する
送料を無料にする
一定額以上の購入で送料を無料にする
都道府県別に送料を設定する
発送方法別に送料を設定する
送料設定はある程度の妥協も必要
最近のショッピングサイトはとても細かい送料設定が可能になりました。
しかし、それでも店舗側が思う完ぺきな送料設定が出来ないケースもあります。
配送のシミュレーションをしてみる
実際に、配送のシュミレーションをしてみると、どのように商品が届くのか、段ボールの劣化具合、中身の崩れ具合などがよくわかります。
店舗から自宅へ配送してみたり、
店舗から自宅へ日時をしていして配送したり、
店舗から県外の知人宅へ配送して、すぐに返送してもらったり
このようなシュミレーションをすると実際に受け取るお客様の気持ちが分かります。
同梱物を用意する
同梱物も用意して、感謝の気持ちや関連商品のPRも行います。
- 納品書
お礼・挨拶状
返品・交換の案内
お客様の声
商品パンフレット
アップセルのご案内
使い方、食べ方の案内
実店舗の案内
スタッフの紹介
以上になります。
山下 雄一郎
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